副業をしている会社員は、副業の所得によっては、年末調整だけでなく確定申告をする必要がでてくることがあります。
会社で行われる年末調整に加えて、自分で行う確定申告が必要になる場合、「両方やるときに控除証明書はどう扱えばいいのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。
たとえば生命保険料控除や住宅ローン控除など、会社に原本を提出して年末調整で控除を受けた証明書を、確定申告でも再度提出しなければならないのか?
コピーで代用できるのか?それとも不要なのか?
こうした点は、実務上の混乱が起きやすい部分です。
この記事では、「確定申告と年末調整を両方行う場合の控除証明書の取扱い」について整理し、読者が安心して手続きを進められるように分かりやすく解説します。
控除証明書の取扱いルール
確定申告と年末調整を両方行う場合、控除証明書の扱いは次のように整理できます。
ポイントは「年末調整で既に控除を受けているかどうか」です。
年末調整で提出済みの場合
会社に生命保険料控除証明書や住宅ローン控除証明書などを提出し、年末調整で控除を受けている場合、その内容は源泉徴収票に反映されています。
(引用元:国税庁HP『令和 年分 給与所得の源泉徴収票(令和7年12月以後用)』©国税庁)
このため、確定申告では改めて控除証明書を提出する必要はありません。確定申告書に源泉徴収票を添付すれば、控除は正しく反映されます。
「年末調整で控除済み → 確定申告では控除証明書の原本は不要」というのが基本ルールです。
年末調整で未提出の場合
年末調整で控除証明書を提出し忘れた、あるいは会社が扱えない控除(医療費控除やふるさと納税など)がある場合は、確定申告で控除証明書の原本を提出する必要があります。
このケースでは、控除証明書の原本を添付しなければ控除が適用されないため注意が必要です。
電子申告(e-Tax)の場合
もしe-Taxを利用して確定申告を行う場合は、控除証明書の原本を税務署に提出する必要はありません。
ただし、自宅で5年間保存する義務があります。税務署から提示を求められた際に提出できるよう、きちんと保管しておきましょう。
実務対応のチェックリスト
- [ ] 源泉徴収票に控除内容が反映されているか確認
- [ ] 年末調整で未提出の控除証明書は確定申告で原本を添付
- [ ] e-Tax利用時は原本提出不要だが保存義務あり
このように整理しておくと、読者は「自分のケースでは証明書が必要か不要か」をすぐに判断できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年末調整で控除証明書を提出する場合、コピーを取っておいた方がいいですか?
→ 取っておくことをおすすめします。
年末調整で提出した控除証明書は会社が処理し、源泉徴収票に反映されます。そのため確定申告で再度提出する必要はありませんが、万が一内容を確認したいときや、会社から返却されない場合に備えてコピーを手元に残しておくと安心です。
特に電子申告(e-Tax)を利用する場合は原本提出が不要でも保存義務があるため、コピーやスキャンデータを残しておくと管理が容易になります。
Q2. 年末調整で控除を受けなかった場合はどうなりますか?
→ 確定申告で原本を提出すれば控除可能です。
年末調整で受けられる控除を受けなかった・提出を忘れてしまった場合は、確定申告で原本を提出すれば控除を受けることが可能です。
また、医療費控除やふるさと納税など、会社が扱えない控除は年末調整では反映されません。これらは確定申告でのみ控除証明書の原本を添付することで控除を受けられます。
Q3. 副業分の確定申告で、年末調整で受けた控除をもう一度申告できますか?
→ できません。
控除は一度だけ適用されます。年末調整で既に反映されている分を確定申告で再度申告することはできません。二重控除は認められていません。
Q4. 電子申告(e-Tax)の場合はどうなりますか?
→ 原本提出は不要ですが、保存義務があります。
e-Taxを利用する場合、控除証明書の原本を税務署に提出する必要はありません。ただし、自宅で5年間保存する義務があるため、紛失しないように整理して保管しておきましょう。
Q5. 控除証明書を紛失した場合は?
→ 再発行を依頼できます。
生命保険料控除証明書などは、保険会社や金融機関に依頼すれば再発行が可能です。確定申告で必要になる場合もあるので、早めに手続きをしておくと安心です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
副業をしている会社員が「年末調整と確定申告を両方行う場合の控除証明書の取扱い」をまとめると、
- 年末調整で原本提出して控除済みの場合
→ 控除証明書は会社に提出した時点で処理され、源泉徴収票に反映されています。確定申告では改めて提出する必要はありません。 - 年末調整で未提出で控除を受けていない場合
→ 確定申告で控除証明書の原本を添付することで控除を受けることができます。医療費控除やふるさと納税など、会社が扱えない控除もここで申告します。 - 電子申告(e-Tax)の場合
→ 原本提出は不要ですが、自宅で5年間保存する義務があります。コピーやスキャンデータを残しておくと安心です。
また、控除は一度しか適用されないため、年末調整で既に反映されている分を確定申告で二重に申告することはできません。
以上となります。
毎年の年末調整や確定申告は、書類の準備や確認など細かい作業が多く、時間も労力もかかります。少し面倒に感じることも多いとは思いますが、正しく対応することで安心して新しい一年を迎えられます。
皆様の年末調整の疑問の解消にこの記事が役立つと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も経理・税務に役立つ記事を発信していきますので、またお越しいただければ嬉しいです。
それでは、また!




コメント