人材派遣料金の勘定科目は?人材派遣費の会計処理と税務処理のポイント

クライアントの経理部より質問をいただきました。

クライアントA
クライアントA
人材派遣を利用したのですが、勘定科目と税区分ってどうなるんですか?

人材派遣費は、実は会計処理も税務処理も人件費とは異なる処理が必要です。

特に消費税の税務処理については人件費と混同すると、税金計算を誤り、消費税を過大に支払ってしまうことにもつながるため注意が必要です。

今回は、人材派遣費用の経理上の会計処理や、消費税の税務処理のポイントについて説明します。

目次

考え方のポイント:「派遣料金は人件費ではない・・

人材派遣費について考えるとき、一番大事なポイントは、人材派遣に関する一切の費用は人件費ではない・・ということです。

人材派遣の利用は、派遣会社が雇用する人材を自社にて就業させる”サービス”を利用することであり、新たに人材を雇用するということではありません。

人にかかるお金ですので、つい人件費としがちですが、派遣は人件費ではなくサービス利用料金であると理解し、人件費とは明確に区別をしましょう。

人材派遣費の会計処理、勘定科目は?

人材派遣費の会計処理について見ていきましょう。

人材派遣費はあくまで派遣会社のサービスを受けるわけですので、勘定科目は、

「外注費」または「人材派遣費」

とするのが一般的です。

「外注費」が最も簡単な計上方法ですが、他に外注費にあたるようなサービスを利用しており、それらと区別して管理を行いたい場合には、「人材派遣費」とする方が管理しやすくなります。

例)人材派遣費として88,000円を人材派遣会社に普通預金で支払った

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
外注費
(または人材派遣費)
88,000円 普通預金 88,000円

人材派遣費の消費税の取扱い、税区分について

続いて人材派遣費の消費税の取扱いについて説明します。

人材派遣費の税区分は「課税仕入れ」となります。

人件費は「不課税仕入」ですから、違う点ですね。

人材派遣費の税区分 人件費の税区分
課税仕入れ10% 不課税仕入

人材派遣料金を人件費と混同し不課税仕入としてしまうと、消費税の計算間違いに繋がりますのでご注意ください。

実は、この考え方の基礎にも人材派遣費はあくまで人材派遣会社のサービスであることにポイントがあります。

消費税区分の選び方のポイント:消費税4つの条件をすべて満たすか?

消費税法上、課税の対象=課税仕入れとなるものは、下記の4つの条件すべてを満たした場合となります。

消費税の課税の対象4つの要件
  1. 国内において
  2. 事業者が事業として
  3. 対価を得て行う
  4. 資産の譲渡や貸付け、役務の提供

人材派遣費は、人材派遣会社が国内の会社であれば上記の4要件すべてを満たします。

一方で、人件費の場合、あくまで事業を行っていない個人に対する給与であるため、4つの条件のうち「②事業者が事業として」の要件を満たさないため、不課税取引となるのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?まとめると、

  1. 人材派遣費はあくまで人材派遣会社のサービスであることが考え方のポイント
  2. 人材派遣費は人件費ではない
  3. 人材派遣費の勘定科目は「外注費」または「人材派遣費」
  4. 人材派遣費の税区分は「課税仕入れ」

となります。

人材派遣費は人件費と混同しやすいですが、明確に違いがあります。

特に消費税に関しては税金計算のミスにもつながりますので、その違いをはっきりと把握しましょう。

この記事が人材派遣を利用する皆さんのお役に立てば幸いです。

それでは、また!

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この記事を書いた人

「ねぇ、税理士いなくて困ってるから税務顧問やってよ」と友人に言われて税理士登録をした公認会計士兼ベンチャー企業の役員。
税理士になる権利は有していても、税務の勉強はあまりしてこなかった!!
だからこそ躓いたアレコレを記録して、税務・経理初心者に役立つことや、日々の色々を書き連ねます!

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