お花代・供花代の勘定科目は何?仕訳例をわかりやすく解説

クライアントの総務部よりご質問をいただきました。

クライアントA
クライアントA

お花を買ったんです。社内用のお花と、取引先への贈答用のお花なのですが、勘定科目って違うんですか?
縄文会計の中村
縄文会計の中村
いい質問ですね!

さて、このお花に関する支払いですが、勘定科目は決まっているのでしょうか?この記事では、お花代の仕訳について考えます。

目次

お花代に関する仕訳は目的によって異なる

お花代の勘定科目は、実は贈る相手や贈る目的によって異なります

例えば…

  • 会社関係の葬儀で取引先や得意先に供花を贈った場合:交際費または接待費
  • 自社の従業員(退職者や役員も含む)に供花を贈った場合:福利厚生費
  • 事務所の受付などに飾るお花を購入した場合:消耗品費または雑費

どのような形であれ、生花店などで購入した花を業務で利用する場合は、生花業者でなければ「販売費および一般管理費」に含まれると考えるのが一般的です。

また消費税については贈る目的は一緒でもモノ(お花)を贈るかお金を贈るかで取り扱いが変わるので注意しましょう。

  • お花代などモノを贈る場合:消費税の対象となります。
  • 香典のように現金を渡す場合:消費税の対象外です。

それでは具体的なシーン別に各仕訳と勘定科目について詳しくみていきましょう。

花代の仕訳に使える勘定科目

生花の購入費用が、送る相手やその用途・目的に応じてさまざまな勘定科目に振り分けられることを見ていきましょう。

なお、各仕訳については消費税込みで処理しています。

消耗品費

普段よく見慣れている受付やフロントなどに飾られている生花のように、業務で利用している花代は消耗品費で処理することが多いです。

エステサロンや美容室などでは店のイメージ作り、インテリアの一環として生花を購入するケースもあります。

生花は、業種によって職場環境の維持管理のために欠かせない消耗品と言えます。

借方
貸方
摘要例
消耗品費 10,000円 現預金 10,000円 フロント受付用花代

*事務消耗品費、事務用品費などでも可
(同じ用途で生花を購入しても、会社によって「消耗品費」とする場合も「事務用品費」とする場合もあります。会社のルールで決まっている勘定科目を使うことで問題ありません。)

贈答費

得意先へのお歳暮などにランなどの鉢植えを送ることはあります。

お歳暮に限らず、○○周年記念、イベントや竣工式・落成式など、得意先への贈答用に花代が発生する場合は贈答費とするケースがあります。

贈答費が消耗品費・事務用品費と異なるのは用途が「社外」という点です。贈答費とした金額は交際費の一つとなります。

借方
貸方
摘要例
贈答費* 50,000円 現預金 50,000円 ○○株式会社10周年お祝い 盛花

*交際費もでOK。贈答費も社外慶弔費も大きくみると交際費に含まれる勘定科目です

社外慶弔費

取引先に対する慶弔関連では生花を使うケースがよくあり、その場合は社外慶弔費となります。

社外慶弔費も贈答費と同様に交際費の一つです。

最もよくあるのは、取引先の方の訃報を受け、会社から供花を送る場合でしょう。また、取引先の○○賞受賞のお祝い、開店・開業祝い、引っ越し祝いなどだけでなく、すでに退職した創業者への長寿お祝いなども社外慶弔費にあたります。

生花ではありませんが、葬儀において香典の代わりに「お花代」として現金を手渡すことがあります。これも勘定科目としては社外慶弔費となります。

ただし「お花代」でなく現金で渡す際は、消費税がかからないので税区分には注意しましょう。

借方
貸方
摘要例
社外慶弔費* 50,000円 現預金 50,000円 ○○様ご逝去に係る供花一基
*交際費でOK。社外慶弔費も大きくみると交際費に含まれる勘定科目です

交際費

先述の贈答費や社外慶弔費も交際費の一種ですが、取引先に対して交際接待の目的で花を贈るケースは交際費となります。

法人税では、交際費は基本的に損金不算入とされ、中小法人についてのみある一定の金額まで損金算入が許されています。

参考:国税庁HP『No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算』

花代は、購入方法や購入する花の種類によって大きく金額が変わることもあります。交際費となる花代については、予算の範囲内かどうかを確認しましょう。

借方
貸方
摘要例
交際費 30,000円 現預金 30,000円 ▲▲㈱ お歳暮 胡蝶蘭

福利厚生費

社員が退職する際に、今までの労をねぎらって花束を贈るようなケースはよくあります。また、社員控室や更衣室に生花が添えられている会社もあります。そして、社員や社員の家族に不幸があった場合には供花が送られることがあります。

このように、会社が社員のために提供する給与以外のサービスの一環として利用する花代は、福利厚生費で処理します。

借方
貸方
摘要例
福利厚生費 5,000円 現預金 5,000円 退職祝い用花束

雑費

頻度が少なく、金額の重要性が低い場合には、花代を「雑費」として計上するのも問題ありません。

ただし、会計処理には継続性が求められることや、社外に接待交際のために支払ったものは、たとえ雑費で処理をしても交際費の計算に含まれることを覚えておきましょう。

借方
貸方
摘要例
雑費 5000円 現預金 5000円 正月用玄関生け花(社内用)2束

まとめ

いかがだったでしょうか?

お花代の勘定科目は、贈る相手や贈る目的によって異なるというところがミソでした!

また同じ相手・同じ目的でもいくつかの勘定科目が使える場合があったかと思います。
その場合は、会社のルール・継続性に基づいて勘定科目を選んでいただければと思います。

この記事が皆さんの日々の経理業務のお役に立ちますと幸いです。

それでは、また!

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この記事を書いた人

「ねぇ、税理士いなくて困ってるから税務顧問やってよ」と友人に言われて税理士登録をした公認会計士兼ベンチャー企業の役員。
税理士になる権利は有していても、税務の勉強はあまりしてこなかった!!
だからこそ躓いたアレコレを記録して、税務・経理初心者に役立つことや、日々の色々を書き連ねます!

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