受取利息とは?源泉徴収税の計算方法や勘定科目・仕訳までわかりやすく解説

法人・個人事業主ともに銀行口座をもっていれば、毎年必ずもらう受取利息。

実は源泉徴収により税金が差し引かれている場合が多いです。

利息の通知があり、税金が差し引かれた金額の入金を確認した場合、どのような仕訳を起こしたらよいでしょうか?

この記事では会社や個人事業主が受け取る利息の会計処理について解説します。

目次

受取利息とは

まずは、そもそもの受取利息について見ていきましょう。

受取利息とは、金融機関に預けた預金や会社の関係者に対する貸付金について受け取ることができる利息のことです。

金融機関に預けた金銭に対して受け取った預金利息だけでなく、貸付金利息、受取割引料、有価証券利息等を処理する科目が「受取利息」です。

有価証券利息は、社債を発行した会社などから契約により受ける利息であるため、勘定科目を受取利息と区分して表示する場合もあります。

  • 受取利息:他者に対する貸付金や金融機関への預貯金に対する利息
  • 有価証券利息:国債や他社の社債などの債券を保有している場合に受け取る利息

ちなみに利子と利息の厳密な違いはあまりないようですが、一般には

  • お金を借りる方が貸した方に元本に追加して支払うお金のことを「利子」
  • お金を貸した方が、元本に追加して受け取るお金を「利息」

と呼ぶことが多いようです。

預金残高に基づいて振り込まれた利息は「受取利息」としています。

受取利息にかかる税金

預金利息などは、入金された時点で源泉徴収されています

この源泉徴収について、正しい計算方法がわからないと仕訳を誤ってしまう可能性の高い項目ですので注意しましょう。

源泉徴収税額の計算方法

平成28年1月より、法人に係る地方税利子割(預金利息等から徴収する地方税5%)が廃止されたことに伴い、所得税と法人税では源泉徴収税額の計算方法が異なっています

それぞれについて見ていきましょう。

【個人の場合】

受取利息は、その受取利息の額に一律15.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%)と地方税利子割(住民税)5%の税率を乗じて算出した税金が源泉徴収されます
これにより納税が完結する源泉分離課税の対象となり、確定申告の対象とはなりません

(参考:No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)©国税庁

受取利息の手取り額のみの情報しかない場合には、次のように計算します。

【例1】源泉後の受取利息が20円であった場合
割り戻し計算で源泉前の受取利息を求めます。
1から15.315%と5%を引いた残り(0.79685)が20円なので、源泉前の受取利息の額は割り戻して
20円 ÷ 0.79685 = 25円(1円未満切捨て)となります。
受取利息 25円
所得税(復興特別所得税含む) 4円 (= 25円 × 15.315%)
地方税 (住民税) 1円 (= 25円 × 5%)

【法人の場合】

法人の受取利息については、その受取利息の額に一律15.315%の税率を乗じて算出した税金が源泉徴収されます。法人においては、平成28年1月以降地方税利子割はなくなりました。

【例2】源泉後の受取利息が20円であった場合
法人の場合は、地方税利子割の5%がないため、源泉後の受取利息が20円だった場合は、
1から15.315%を引いた残り(0.84685)が20円であるので、源泉前の受取利息の額は、
20円 ÷ 0.84685 = 23円(1円未満切捨て)となります。
受取利息 23円
所得税(復興特別所得税含む) 3円 (= 23円 × 15.315%)

受取利息の仕訳方法

個人と法人に分けて、上記例1及び2で計算した受取利息についての仕訳をしましょう。

なお、実際に入金された金額で記帳する「純額主義」という仕訳方法もありますが、原則的には、源泉所得税等を明示して記帳する「総額主義」で表します

個人事業の場合の仕訳方法(総額主義)

個人の場合、受取利息は利子所得に区分され、事業所得とは関係のない入金となります。

そこで、受取利息は「事業主借」勘定を使用し、源泉税については「事業主貸」を使用します。

借方 貸方 摘要
預金 20 事業主借 25 普通預金利息
事業主貸 5 所得税・住民税など

なお、預金利息などは源泉分離課税として、源泉徴収の時点で納税が完結しているので確定申告の必要はありません。

法人の場合の仕訳方法(総額主義)

法人の場合、受取利息は営業外収益に区分されます。

また、所得税法の規定により源泉徴収された所得税額は、法人税の前払いとして法人税額から控除することができます。(所得税額控除といいます。)

借方 貸方 摘要
預金 20 受取利息 23 普通預金利息
法人税等 3 所得税など
源泉徴収された税金には「法人税、住民税及び事業税」、「租税公課」勘定や「前払税金」勘定を利用する場合もあります。

さいごに:源泉徴収を忘れずきちんと仕訳しましょう

受取利息については、個人と法人で仕訳が異なったり、銀行口座に入金される金額がすでに源泉徴収後の税引後金額であることが多いです。

特に、源泉徴収の計算については端数処理もありますので、気をつけたいところです。

源泉徴収額については、金融機関からの通知書に記載されている場合があります。その場合は端数処理について通知書を確認しつつ、仕訳をすると確実な処理になると思います。

そうでない場合はご自分で計算して仕訳を起こす必要があるので、本記事を参考にして処理していただけると幸いです。

それでは、また!

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この記事を書いた人

「ねぇ、税理士いなくて困ってるから税務顧問やってよ」と友人に言われて税理士登録をした公認会計士兼ベンチャー企業の役員。
税理士になる権利は有していても、税務の勉強はあまりしてこなかった!!
だからこそ躓いたアレコレを記録して、税務・経理初心者に役立つことや、日々の色々を書き連ねます!

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