寄付金控除と寄付金特別控除とは?ふるさと納税との関係も解説

寄付金控除をわかりやすく解説! 所得税

「寄付をすると税金が安くなる」と聞いたことがある人は多いと思います!

最近は『ふるさと納税』もメジャーになっているので、寄付金=節税の印象は強くなっているんじゃないでしょうか?

縄文会計の中村
縄文会計の中村
でも寄付をしただけでは、節税されないことはご存じですか?

寄付金で控除を受けるには、年末調整確定申告によって、寄付金控除の手続きをおこなわなければなりません。

今回は、そんな『寄付金控除』制度についてわかりやすく解説します。

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寄付金控除とは?

「寄附金控除」とは、国や地方自治体、日本赤十字社、認定NPO法人などに寄附をした時に受けられる所得控除です。確定申告をすると納税額が軽減されたり納めた税金が還付されたりするので、節税することができます。

ただし政党、認定NPO法人、公益社団法人等への寄附金については、「寄附金特別控除」という税額控除との選択適用ができます。

一般的には、「寄附金特別控除(税額控除)」の方が有利になりますが、その人の課税所得によって異なります。

まずは、それぞれの違いをみていきましょう。

(1)寄附金控除は「所得控除」

寄附金控除は、15個ある所得控除のうちの1つです。

所得控除とは、所得から差し引くことができる項目のことで、ほかにも医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、ひとり親控除などがあります。(詳しくは↓の記事をどうぞ)

『控除』とは?所得控除・税額控除全種類一覧|まだ節税できるかも!
自分で確定申告したけど、思ったより税金が高い・・・ もっと節税できる方法がないかしら? ということで、今回は節税に大きく関わる「控除」について、パパッと全網羅していこうと思います。 そもそも「控除」とは? 控除とは、...

所得控除が適用されると、所得から一定額を差し引くことができるので、当然所得控除は多いほど税金計算では有利になります。

縄文会計の中村
縄文会計の中村
しかし、どんな寄付金でもよいわけではなく控除できる寄付金は決まっています!

寄付金控除の対象である「特定寄附金」とは、以下のようなものをいいます。

特定寄付金
  1. 国または地方公共団体に対する寄附金 ※いわゆる「ふるさと納税」
  2. 地方公共団体に対する寄附金
  3. 指定寄附金
    財務大臣が指定した寄附金など。日本赤十字社、国立大学への寄付など
  4. 特定公益増進法人に対する寄附金
    教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献に寄与すると認められた一定のもの。独立行政法人、自動車安全運転センターへの寄付など
  5. 特定公益信託への支出金
  6. 認定NPO法人に対する特定寄附金
    NPO法人のうち、国税庁長官等の認定を受けたもの
  7. 政治活動に関する寄附金
    個人が支出した政治活動に関する寄附金のうち、政党、政治資金団体、国会議員、知事などに対する寄附金
  8. その他
    特定新規中小会社が発行した株式の取得に係る払込金

 

また、寄附金控除額の計算式は、以下のとおりです。

寄付金控除額の計算

寄附金控除額= 『支払った特定寄附金の額』と『総所得金額等の合計額の40%』とのいずれか少ない金額 - 2,000円

ふるさと納税も実は寄附金控除

地方公共団体に寄附をすると、控除を受けられるうえに地方の特産品がもらえるとして人気の『ふるさと納税』も、寄付金控除です。

ふるさと納税は、住民税の税額控除がある点もメリットの1つです。

所得税のように税金が還付されるわけではありませんが、寄附した翌年から支払う住民税が減額されますので、所得税とダブルで控除され節税効果が高くなります。

ワンストップ特例制度で確定申告が不要に!

また、ふるさと納税の特例としてワンストップ特例制度が創設され、確定申告が必要ないサラリーマンがふるさと納税を行う場合には、5地方公共団体までの寄附であれば確定申告をせずにワンストップで控除が受けられることになりました。

つまり、ワンストップ特例制度を利用すれば、寄附した本人に代わり地方公共団体がふるさと納税の控除を申請するので、確定申告が不要です。

ただし、代わりに「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附した自治体に提出する必要があります。

ちなみに、このワンストップ特例制度を利用するためには、サラリーマンなどの給与所得者で寄附先が年間5自治体以下の人だけが対象です。
6自治体以上に寄附する場合や個人事業主など給与所得者ではない場合には、ワンストップ特例制度は利用できないため、確定申告が必要になります。

寄付金控除の注意点

さらに注意が必要なのは、そもそも「寄附金控除」は税金を払っていない人が寄附をしても、税金は戻らないということです。

例えば、専業主婦や年収103万円以下のパートの人などが寄附をしても、そもそも所得税を納めていないので還付される税金はありません。

なので家族がいる場合は、家族の中でもっとも所得の高い人が寄附をして寄附金控除を行うようにしましょう!その方が節税額が大きくなります!

(2)寄附金特別控除は「税額控除」で3種類ある

寄附金特別控除とは、以下の3つの特別控除をいいます。

寄付金特別控除
  1. 政党等寄附金特別控除
  2. 認定NPO法人等寄付金特別控除
  3. 公益社団法人等寄附金特別控除

 

それぞれの控除額は、以下の計算式で計算します。

①政党等寄附金特別控除

控除額=(政党等に寄付した金額-2,000円)×30%

 

②認定NPO法人等寄付金特別控除

控除額=(認定NPO法人等に寄付した金額-2,000円)×40%

 

③公益社団法人等寄付金特別控除

(公益社団法人等に寄付した金額(一定要件あり)-2,000円)×40%

 

※注意点
●すべての計算式で、控除額の100円未満の端数は切り捨てます。
●①~③の寄付金額の合計は、総所得金額等の40%が限度です。
●計算式の「2,000円」は、寄付金控除の適用を受けるほかの特定寄附金等があるときには、「2,000円-特定寄附金等の合計額(マイナスの場合は0円)」となります。

(3)寄附金控除と寄付金特別控除で選べるもの一覧

これまでご紹介してきたとおり、寄附金控除と寄付金特別控除は、どちらか有利な方を選択することができますが、すべての寄付金が選択適用できるわけではありません。

下記に一覧としてまとめましたので、参考にしてください。

寄附の内容や寄付先 所得控除 税額控除
特定寄附金(学校の入学に関して行うものをのぞく) 国、地方公共団体に対する寄附金 国に対する寄附金 ×
地方公共団体に対する寄附金 日本赤十字社、新聞・報道機関等への義援金 ×
上記以外のもの ×
指定寄付金 ・財務大臣が指定した寄附金
・公益社団法人、公益財団法人など公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、下記①②の要件を満たすと財務大臣が指定したもの
①広く一般に募集されること
②教育や科学の振興など、公益の増進に寄与するための支出で、緊急を要するものに充てられることが確実であること
×
特定公益増進法人に対する寄附金 独立行政法人、一部の地方独立行政法人、自動車安全運転センター、日本私立学校振興、共催事業団および日本赤十字社 ×
公益社団法人・公益財団法人、私立学校法人、社会福祉法人、更正保護法人
特例民法法人で、「特定公益増進法人」として、主務大臣の認定を受けていたもの ×
特定寄附金とみなされるもの 特定公益信託への支出 ×
認定NPO法人に対する寄附金(仮認定NPO法人に対する寄附金含む)
政治活動に関する寄附金 政党、政治資金団体
国会議員が主催する政治団体等・公職にある者や特定の公職の候補者の後援団体等・公職の候補者で一定のもの ×
その他 特定新規中小法人が発行した株式の取得に係る払込金 ×

(4)寄附金控除と寄付金特別控除の有利不利の判定

①政党等寄附金特別控除、②認定NPO法人等寄付金特別控除、③公益社団法人等寄附金特別控除の3つの税額控除は、寄付金控除(所得控除)と有利な方を選択適用することができます。

税額控除は、税額から差し引くことができるので、通常は税額控除の方が有利ですが、所得金額や寄付金額によって、どちらが有利になるのかは異なります

政党等寄附金特別控除については、一般的には課税所得が900万円以下の人は税額控除が有利になり、課税所得が900万円を超える人は所得控除の方が有利になります。

寄付金や所得が多い人は、どちらが有利か計算してみることをおすすめします。

寄附金控除を受けるための確定申告の方法

寄附金控除を受けるためには、原則として確定申告を行なう必要があります(先述したふるさと納税のワンストップ特例制度を利用している場合は、確定申告は必要ありません)。

確定申告をすることで、その年の分の所得税から控除・還付を受けられ、翌年の個人住民税から税額が減額されることになります。

確定申告を行なう場合には、所得控除か税額控除かで手続きが異なります。通常は寄附金特別控除(税額控除)を受ける方が税金の計算上で有利となりますが、どちらが有利なのか分からない場合や記入方法などについて不明点がある場合には税理士に相談するとよいでしょう。

(1)寄附金控除(所得控除)の確定申告

①国税庁の確定申告書作成コーナーにアクセスします。

②画面の指示にしたがって、所得控除の画面まで進み、寄付金控除の「入力する」を押します。

確定申告書作成コーナー所得控除画面

(引用元:確定申告書作成コーナー|国税庁 より一部加工)

②さらに「入力する」を押して、寄付金の入力画面に進みます。

確定申告書作成コーナー寄付金控除入力画面

(引用元:確定申告書作成コーナー|国税庁 より一部加工)

③寄付年月日、寄付金の種類、寄附の金額、寄附先の所在地、名称を記入します。

確定申告書作成コーナー寄付金控除入力画面②

(引用元:確定申告書作成コーナー|国税庁 より一部加工)

④所得控除と税額控除のどちらが有利か自動計算されます。

確定申告書作成コーナー寄付金控除の自動判定画面

(引用元:確定申告書作成コーナー|国税庁 より一部加工)

(2)寄付金特別控除(税額控除)の確定申告

寄付金特別控除(税額控除)の場合は「計算明細書」が必要になります。

確定申告書作成コーナーを利用する場合は(1)寄付金控除の手続きが終われば自動で「計算明細書」まで作成されます。

念のため、手書きでやる場合の手続きも下に記しておきますね!

手書きの場合

①寄附金の税額控除には、それぞれ計算明細書がありますので、まず控除額の計算で使用する「計算明細書」を入手します。

②計算明細書を使って、控除額を計算し、その金額を確定申告書第一表に転記します。

③税額控除対象法人であることの証明書や寄付金の領収書などは、貼付して提出する必要があります。

④第二表の「特例適用条文等」の欄には、公益社団法人等寄附金の場合には「措法41の18の3」、認定NPO法人等寄附金の場合には「措法41の18の2」、政党等寄附金の場合には「措法41の18」と記入します。

まとめ

寄附金控除と寄附金特別控除は、原則として確定申告が必要であり、その場合にどの控除を適用するか自分で選択する必要があります。

しかし、どちらが有利になるのかは、e-Taxを利用する場合には、寄附金の種類さえ正しく入力すれば自動で判定してもらうことができます。

ただし、どの寄附金に該当するか判定するのは難しいこともあるので、その場合には不明点や疑問点は事前に税理士に相談しておくと安心でしょう。

他にも、ベンチャー企業などに投資し「エンジェル税制」を活用する場合には、確定申告作成コーナーが対応していない等の理由で、別の手続きが必要になるため、コチラの記事をご確認ください。

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以上、この記事が、ふるさと納税を含め寄付をなさっている方のお役に立てれば幸いです!

それでは、また!

コメント

  1. ココ より:

    勉強になります😊

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